ローゼンメイデン


ひょんなことから見てみた。
07年GW前に鑑賞したアニメ。
見る順番は逆になってしまったが、
新しきを知って古きを知った感じ。


・紹介
約58万時間ぶりに目覚めたローゼンメイデンたち。
彼女たちは、ミーディアムにネジを巻かれ、命を吹き込まれることにより
永き夢から復活する。
ローゼンメイデンは、どんなドールよりも無垢で気高く、美しい少女
"アリス"を目指さなければならない。自分を生み出した父に会うために。
そんな中、ミーディアムとの生活を暮らしていく。

元はPEACH-PITと言う漫画家コンビが書いた漫画だが、人気が出てアニメ化した。
やはり漫画とアニメで雰囲気が違うようだ。(私は漫画読んだ事ないけど)
しかしアニメから前回アニメの存在を知り、原作の存在を知り、
どんどん過去にさかのぼる感じで元ネタが知りたくなってくる、
そんな良作品です。以下ネタバレレビュー。



真紅
しんく。ローゼンメイデンシリーズの第5ドール。
金色の長髪にサファイアのような瞳。名前の通り、真っ赤な衣装が印象的。
女王様気質でプライドが高い。薔薇の花びらを生み出すことが出来る。

主人公にネジを巻かれ、永い時から覚める、正ヒロイン的存在。
主人公を家来として扱う。
が、時には主人公の心も支える。
「あの子の心を知っているのは、本ではなく、あなたなのよ」
どんな詳しい本でさえ、身近にいる人には敵わない。
今苦しんでいる人を助けられるのは、他の何でもない、身近な人なのだ。
それがよくわかった。



雛苺
ひないちご。ピンクの服に、金色の髪を結いだリボン。エメラルドのような瞳。
見た目も精神も子供でわがまま。
言葉の最後に「〜の!」をつける口癖がある。薔薇の幹を操る。

幼稚な子供そのままだが、それがなお雰囲気を明るくさせてくれる。
楽しい雰囲気には必須な存在。
主人公宅に来るまでは、元ミーディアムの下で暮らしていた。
もっと色んなことして遊びたいのに、約束をしたのに。
約束は破られていつも一人ぼっち・・・
世の中は甘くはないけど、それはなんて悲しい事なのだろう。
こんな事が当たり前であっては欲しくない。そう思えた。
誰か一人でも、その孤独に手を差し伸べて挙げられる人がいたら・・・
その子はとても幸せなんだろうな、と思った。



翠星石
すいせいせき。庭師の如雨露を使うドール。
緑のドレス、茶色の長髪に、右目が赤、左目が緑と言う可愛い容姿ではあるが意外に毒舌家。
その割りに人見知りは激しい。双子の妹・蒼星石を誰よりも大事にしている。
語源の終わりに「です!」をつける癖があるが、気性故に丁寧か汚いのかわからない。
庭に撒いた水で薔薇の幹を巨大化させることが出来る。

いつも双子の妹・蒼星石と一緒だが、何故か一人で飛び込んでやってきた。
人間なんて大嫌いです・・・そんな言葉が切ない。
大切な身内を他人に取られたと思えば、それは自己中ながらも本人にとっては
哀しみ以外の何物でもなかったのだろう。
一番人見知りする割には性格的にはそんなじゃなかったような気もするけどw
翆星石に関する話では、この子個人よりも妹のマスターの方が主人公に対して
心の関連があったので、こちらはご愛嬌と言う感じかな。



蒼星石
そうせいせき。庭師の鋏を使う。翠星石の妹。
性格的には正反対で真面目。
翠星石とは目の色が逆で、右目が緑、左目が赤。
青い服を着、マジシャンのようなシルクハットを被っている。

マスターの一人息子の変わり身として見られている存在。
マスターは老人の男性で、妻のお婆さんはずっと眠り続けている。
2人とも、最愛の息子を失ったところで壊れてしまったのだ。
そこへ翆星石と蒼星石が届けられ、わらをもすがる思いで巻いたら、
息子が甦ったと勘違いしたのだろう・・・
おばあさんは、夢の世界で一人息子とずっと遊び、おじいさんと会うことはない。
自分だけ安全な世界で閉じこもって・・・
それが主人公のことでもあるという、何とも皮肉な係わり合いだった。
最愛の姉の、一緒に居たいと言う思いさえ遮って、マスターの側に居た蒼聖石。
人は、悲しみを持つものの側に居ないといけないのだ。壊れてしまうから・・・
見捨ててはならない。そんなものが伝わった気がする。



水銀燈
セミロングの銀髪に桃色の瞳、白い服の上に黒いドレスを着ているドール。
残虐非道な性格。黒い翼で烏のような羽を飛ばす。

ちとSっ気ありありのお姉さんって感じだが、
実は未完成のドールで、でも自分はアリスになれるんだと父に証明し会いたいがために
アリスゲームを始めようと、ローザミスティカを集めようとする。
アリスになれることが証明できるのなら他のドールの命ともいえるものを
わざわざ奪るなんてめんどいことはしなさそうな感じだね。
そう言う意味では、父に会いたい一心、一途な思いは心打たれたけど、
過ぎたるは及ばざるが如しとはこのことである・・・と感じた。
なんでも度が過ぎてはならないのだ。狂気と化してしまうから。
バッドエンドにはある意味感動・・・。




・シナリオ
主人公『桜田ジュン』は天才だったが中学受験に落ち、普通の中学に入った。
周りに落胆され、学校に望みを失い登校拒否になる。
安全な家に閉じこもり、インターネットで商品を買いギリギリの期限で
クーリングオフするスリルが今の彼の生甲斐。
そんなところに、ある人形が届き、ネジを巻くとその人形は動き出した。
不思議な人形・ローゼンメイデンたちと共に過ごすジュンの生活・心が、
少しずつ変わっていく・・・


・CG
球体関節など、ちゃんと人形っぽくしているな
って言うのがわかるのが印象的。
線の太さや背景なども妥当であり特に気にならない一品。
くんくん探偵など、アニメの中のアニメも酷くないクオリティw
グッジョブです。


・音楽
OP『禁じられた遊び』は偏った目で見れば題がアレで違和感ですね。
曲調に関しては続編『トロイメント』の元になった感じで、変わらない。
主人公の心の闇を映し描くところでは、音楽が心理をよく捉えているような感じがします。


・その他
オーベルテューレって言う、トロイメントに続いた続編が出続けているようですね。
人気も衰える事を知らないようです。非のないものには支えが来るものですな。
ちなみに題の副語はほとんどフランス語のようですね。
英語とかありきたりでないのが、細かいところではあるが行き届いてて感心。


・総評
その辺のえろげをアニメにした場合、たった12話では5人分ものストーリーを伝えきれず
中途半端にぐだぐだに終わる感じだが、これは例外。
5人のドールはストーリーと言うほどではないが、
12話でむしろ充分なほどのそれぞれの思いが伝えられる。
人生に希望をなくした人間をどう救うか・・・
そんな大切なことを伝えられそうな気がする、考えさせられる
大切な作品だと思います。
『ダメじゃない人なんかいない。
 みんな自分をダメだと思ってがんばっているんだから』
何気ない言葉だったけど、感動した。

普通に視聴者サービス的なものもあり、雛苺の存在によるほのぼのも欠かせませんw
世間的には飛びぬけなくとも個人的には非のない作品。

必見です!



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